人生最後の食事は120%春巻である

あなたは、人生最後のお食事に何を選びますか―

食欲も落ちてしまうこの頃、元気に爆食いする某義母の姿を振り返りながら繰り広げた会話がちょっとした論争に。

今回はその論争にあなたを巻き込みながら、世界で最も美しく愛おしい食べものについてご一緒に考えてまいりましょう。
夢の話じゃなくて食べものの話多くない?と感じたあなた、気のせいです。こちらへどうぞ。

目次

お土産は春巻

誤解を恐れずに恥を忍んで申しますと、私の大好物は春巻です。

納豆もお寿司もお刺身もピーナッツ豆腐も好きです。
なんなら餃子も好きです。
嫌いな食べものを探すほうが難しいくらい、たいていのものをおいしくいただくタイプです。
けれども、春巻に敵うものはなかろう、と心のどこかで思っています。

生春巻も好きです。
しかし私の中で不動の第一位は揚げられた春巻です。

春巻

こういうのがいいんですよ。
家族分だとこうね。

春巻

…ごめんなさい、お米我慢しても、ついでにスープもお肉も食べなくていいから、リミッター開放する日はこんなのじゃだめですね。

いいんですよ。
九星気学の先生も、ワシのラッキーフードは「包んだ(包まれた)食べもの」と教えてくださったんです。
とにかく包まれている、揚げられている春巻は正義です。

春巻(大量)

もはや春巻屋さん。
一度でいいからこんなに一気に揚げてみたいものですね。
作るのが大変なんですよね。春巻ってね。

そんな私を見かねて、中華料理人の義父、よく春巻をつくってくれます。
彼のお料理はたいへん好評で、料理長を引退してもなお、ケータリングだの、地域食堂だの、お声掛けいただいて赴くようです。

酢豚
エビマヨ
飾り切りの花
鳥とか

こんな感じのが得意みたいで、お誕生日のプレートなどもつくるそう。
そんな義父に飾り切りをば、ではなく、春巻をねだる私。
この世の無粋を寄せ集めています。

離れて暮らしているため、よく送ってくれます。
クール便で届くとなれば、だいたい春巻。
何回かに一回、餃子や焼売が届くので、とても残念な気持ちで受け取りますそれはそれで新鮮だなあといったところです。

賄賂も春巻

そんな義父、なにか私たちに頼みごとがあるときにも春巻を送ってくれます。
いわば賄賂のような扱い。

少々負荷のかかる頼みごとの場合は、パックの数が増えます。私を悪代官とでも思っているのでしょうか。3パックから応需そんなのなくたって、大事なおとうさんのお願いはいつだってウェルカムだというのに。

あんかけ焼きそば

これはある日のあんかけ焼きそば。
おうちごはんでは、こういうのも出てきます。なにげないごはんにも手づくりの葱油が使われていて、必ずよそのお料理とは違うのが好み。

とにかく義父は、春巻を送っておけば間違いないと思っているようです。
残念ながら、いまの私にその仮説を否定できるだけのものは出せません。

義母と春巻の手伝い

地球がワシを殺しにかかっているのではないか、と思うほどの酷暑のなか、義母が遊びにやってきました。

彼女はだいたい旅が好きで、旅するために仕事を続けているタイプ。
時間が空いたのと、スマホの買い替えをしたいのとで、ひとりでやってきました。
義父は公共交通機関を好まないので、長距離移動にはほとんどついてきません。

駅に迎えに行くと、手を振る義母。

あなたの、春巻を
転がしてきたんだからぁ~

キャリーケースにこれでもかと詰められた荷物の中身の、1/3は春巻でした。

おかあさんごめんね、重かったやろ…

それはいいんだけどさ、
「魔王」をあの子にも持っていくんだからぁ~

義父のお弟子さんにお酒好きがいるので、好みの銘柄を把握していて持ち込んだそう。そりゃ、瓶まであれば重かったでしょうが、それをも凌ぐ春巻の量。

ありがとうこれで3日いける義母の長旅を労いつつ、曰く

今回はさ、エビチリと~
ポテトと~
きんぴらと~
チャプチェも入れてみたんだからぁ~

ご…五目はッッ!?

お父さんはさ、最近チャプチェがおいしいって
本気で思ってるからぁ~
五目は今回ないと思うけどぉ~

白いイッヌ
本気で言うとる?

そりゃおかん、言うたらダメじゃわ~

ポテトがさ~
あたしのおすすめなんだよぉ~

そそそそうなんだあ!
ありがとうございますッッ!

五目がないと、親父はサボっとる~って言うくせにィ

頼む夫氏、黙っとれ
たくさんの春巻とバリエーションにひととおりの驚きと感謝を伝え、帰路につきます。

異論は認めません

「五目」というのは、おそらく大多数の読者の方が想像されているであろう、スタンダードな春巻の具材。

上記のあんかけ焼きそばでもお察しのとおり、義父のあんかけとか、葱油が入った味付けは特別なものであり、スタンダードな春巻が最高においしいと思っています。

しかしこれには手間がかかるのが難点。
干し椎茸をもどし、春雨やらタケノコ、豚肉やらと炒めて味付けし、水分を調節し、包んで、パックに詰めるという、とんでもない手間がかかるわけです。

義実家でいただく際にも、「頼むから揚げるところは自分でやってくれ」―
と義父も音を上げるくらいのお品。
横で作業しながら、手取り足取り教えてもらえるのは人生のギフトでもあります。

タンパク質は大事

滞在中、たくさんの春巻を義母と一緒に食べたり、お外に食べに出たり。
義母の食欲を奪っていたのは酷暑というよりも、「食べる習慣が乱れたこと」にもあるようでした。

毎日暑いからねぇ~
お茶漬けとかそうめんばっかりになっちゃうのよねぇ~

タンパク質の摂取状況を尋ねると、少し足りない様子。
鶏肉やお豆腐を一緒に食べていたら、2食目にはこってりしたB級グルメを食べ、断続的にスイーツを欲するほどに。

現場の経験的にもタンパク質を摂らなくなると弱りがちという感覚をもっていますが、やはり重要なこと。
夏バテ気味の方は、なんでもいいのでタンパク質を補ってみてはいかがでしょうか。

人生最後の食事になにを選ぶか

数日間、食い道楽を尽くした義母を駅まで送り届けた日の夜。
いつもの食卓に戻った我が家で事件は起きました。

きょうも春巻があるから…

春巻かァ…
オレはもういいかな…

そうかあ。
別のものも用意するけれども…

そんなに春巻好きなんじゃなァ…

そりゃあもう。
世界でいちばんおいしいやつだと思っておりますよ。

自分の意思で、心から食べたいものを人生最後に選ぶとしたら?

まあ春巻ですな。

人生最後やで?

そこは春巻食べてから考えるかな。

オレは実は焼売のほうが好きじゃ

非国民ッッ!!

睨む鳥
メンチ切り!

……

じゃあ、親父が本気でスープをとった五目麺と、
本気でスープをとったとんこつラーメンと、
本気でスープをとったしょうゆラーメンと、
餃子と、
焼売と、
春巻では?

はr…

はァ…

そんなん決まっとろうが!ちばけなよッッ!!

犬にも諭されて

その日の夜、義父に送るための荷物を用意して床に就きました。

犬だよぉ~!
散歩行った?

オモシロタノシズムの犬
オモシロタノシズムの犬。呼び名は「犬さん」でお願いします

犬は、春巻ってのを食べたことないけど、
犬のトコの人間は、春巻が世界でいちばんおいしいって言うんだ。
人生最後の食事に選ばないとおかしいって。

犬なら絶対、犬生最後の食事にはささみを選ぶんだけど。
トモダチがみんな、犬のトコの人間はもう頭がおかしくなるしろがないって言ってたけど、あいつの頭、まだおかしくなれるしろがあったみたい。

みんなも、ささみがおいしいって思うように、お水飲んでね~!

犬さんによれば、世界でいちばんおいしいのはささみだそう。

中の犬プロデュース事例が50頭を超えたいま、まさか犬さんに「春巻はおかしいぜ」と脱水予防に水を飲むよう諭される日が来ようとは思いもしませんでした。

いいえ、誰になんと言われようとも、私は人生最後の食事には春巻を選びます。
詰まらせて看護師さんや介護士さんを困らせることがないよう、あくまでも「自分の意思で選べる最後」と留保しておきましょう。

あなたは、人生最後の食事になにを選びますか。
もちろん春…

今日はここまでにしといちゃらーーー。

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この記事を書いた人

寝言と寝相がフルスロットル。
記事の書き終わりには独特の独り言を吐く。
以前の投稿内容はだいたい夢の中身だったが、歳のせいか夢見が減ってきたので最近は夢もへったくれもないことを書いている。
一人称が時々「ワシ」になる、実はバイク乗り。

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