あるデジタルマーケターの方がプロモーション戦略として「目立たないことを狙う」と仰っていて、「なるほど」と思いつつ、「でもなぁ」とも思った話がありましたので、その話を起点にビジネスを持続的にするための思考実験をしてみたいと思います。
その方が言うには、
・市場が十分成立していない段階で、ターゲット顧客層から外れたところにリーチすると、模倣され競合企業の乱立を招く
・模倣を防ぐために、可能な限り、ターゲットを絞って、それ以外に露出しないように創意工夫するこれが、有効なマーケティングになる、と。
確かに、ターゲット顧客層以外の顧客は販売効率を下げる可能性があります。デジタルマーケティングを駆使すれば、ターゲット狙い撃ち&ターゲット以外への露出を最小限に出来ます。
しかし、露出が模倣を招いたのではなく、ビジネスモデルが模倣可能で、提供価値が差別化されにくいものだっただけで、露出をしないことが本質的な戦略ではないと思います。
そこばかりに創意工夫を重ねると、根幹たる部分が弱いまま、テクニックで表層部分だけを鍛えることになり、競合が本質的な価値を提供できるようになると、根こそぎ駆逐されてしまう可能性が高まります。
結局のところ、持続的なビジネスに必要なのは、下記の3点だと考えられます。
- 競争優位性のある経営資源(お金を払っても良い価値を持つ資源、希少な資源、模倣困難な資源、組織文化など)
- ビジネスモデルとツール
- 実行力
このうちの1点だけを磨いても不十分なのだと思います。持続的にビジネスを続けるには、どれも必要という視点で捉えられることが大事です。
まさに三位一体なのだと思います。
DEUS(神):持続的なビジネス
PATER(父):競争優位性のある経営資源(お金を払っても良い価値を持つ資源、希少な資源、模倣困難な資源、組織文化など)
FILIUS(子):ビジネスモデルとツール
SPIRITUS SANCTUS(聖霊):実行力
冒頭のマーケターの方の話は一理あるのですが、最終的にはオープンな市場と繋がることで価値を発揮するデジタルな手段を使っている以上、露出を抑制するクローズド戦略には無理があり、上手くいったとしても一時凌ぎにしかならないと思います。
マーケティングテクニックだけを披露しても、問題解決になりにくいのは、本質的には三位一体の視点で見なければいけないところを1点突破で切り抜けようとしているためではないかと考えます。
ちなみにどうでもイイことですが、この三位一体の図式は立体的に捉えると正四面体になります。正四面体は、それを成す各面の中心を頂点とする正四面体を内包します。他の多面体はこうはいかないようです。
視点移動を可視化したっぽい、正多面体の双対性を表した図を貼っておきます。
コメント