スローエイジングという考え方

私はスローエイジングという考え方が好きです。アンチエイジングとは何が違うのでしょうか。結論からすると同じかもしれません。しかし、Anti- (反する、抵抗する)というニュアンスではなく、Slow(ゆっくり、緩やかな)というニュアンスを尊重したいという心持ちです。

エージングとは年を取ることですね。地球上では年を取ると風化・酸化が進行します。形あるものは、その摂理に対応し、少しずつ変わりながらも以前の個体と連続した形態を維持しようとします。

この少しずつの変化が続くことで、鉄は錆び、脆い石は風化し、やがて崩れて元の形がどのようなものだったか分からなくなります。地球上に奇岩といわれる岩が点在していますが、あれも元は大きな岩の塊が風化したものです。

生物と非生物でこの劣化に対する振る舞いは変わるでしょうか?生物と非生物も物質からなり、要素分解すると同じものから出来ていますが、何が違うのでしょうか?

生物は動物、植物を問わず、外からエネルギーを摂取し、それを組織の中で変換して、自らを再生しています。再生できる分、崩壊する速度が緩やかと考えられます。つまり生きていることでスローエイジングを実現していると考えることが出来ます。

スローエイジングのためにはエネルギー吸収量、変換効率、再生サイクルの3つが重要であると考えられます。これを一種のプロセスとして捉え、入力、過程、出力に分けて整理してみます。またフィジカル面とメンタル面に整理してみます。

フィジカルプロセス
入力:エネルギー源、水分
過程:エネルギー源の分解・吸収、エネルギー変換
出力:細胞、老廃物、熱、水分

メンタルプロセス
入力:エネルギー源
過程:エネルギー源の分解・吸収、エネルギー変換
出力:活力、疲労

フィジカル、メンタルの双方でエネルギーを取り込み、エネルギー変換している様子が理解できるのではないでしょうか。

ではエネルギー源を取り込まなくなる(入力の問題)、取り込めなくなる(過程の問題)とどうなるでしょうか?

今までと同じやり方では同じエネルギーを出力することは出来なくなります。生み出す細胞よりも老廃物として失う細胞の方が増えたり(表面的に老け込む)、活力よりも疲労が増えたり(内面的に老け込む)します。このような様子が見られるとどこかに問題があると気が付くと思います。その時は、エネルギー源を変える、過程を見直す(肉体的、精神的鍛錬、人との付き合い方、元気をもらえるメディアとの付き合い方、医療技術によるアップデート)ことを考えると良いでしょう。

私はどちらも効果的な方法だと考えていますが、エネルギー源を変更すると過程も見直す必要があります。ですから、どちらに意識を置いていたとしても、どちらも対応することになるので、対応できる手段がたくさんあるうちに、早めに行動するのが良いと考えます。

フィジカルプロセスの改善方法として、医療技術による体のアップデートは選択肢としてありますが、これこそエイジングへの抗い行為、アンチエイジングではないでしょうか。私はそれよりは適度に運動して基礎代謝を保つことを選択します。またメンタルプロセス面を改善するための精神的エネルギー源の変更、すなわち人付き合いやメディア付き合いの工夫をしたいと思います。時には自分に課題を課して成し遂げるまで諦めない肉体的、精神的な挑戦をすることも効果的です。しかし、私はそれを長続きさせることはできないので、負担にならない範囲で摂取エネルギー、プロセスに工夫を加えていきたいと思います。これがスローエイジングだと考えています。

人生、山あり谷ありです。

谷にいる時は、じっとしているだけでも大変です。自分自身が嫌になります。しかし、その瞬間も精神鍛錬を行なっており、実に活力を付けるためのプロセス改善を試みていると言えるのです。

生き生きと生きたいという願望がなければ、悩むことはないのです。でも谷間で慣らした視力には山頂の光は眩すぎると感じ、思わず前に踏み出す気持ちが折れることもあるでしょう。しかし、未来によって、過去の意味が変わるとすれば、その未来を見たいと思わないでしょうか。

思い通りにならなかった昨日のことよりも、これから生き生きと生きられる明日のことに、少しずつ気持ちと考える時間の分量を増やしていけば、いつしかその比率を逆転させる事ができると思います。

生き生きと生きようとする力が崩壊への抵抗に効いているイメージは共有できたでしょうか?

では、この生きようとする活力が増大する時にエージング力を超えることはできるでしょうか?エージング力を超える力はアンチエージング力だと考えますが、残念ながら自然に生きていく中でアンチエージング力が発動されることはないと考えます。つまり、若返りの魔法は自然の摂理としては起きないと思うのです。

エージング力の総量>アンチエージング力の総量
であり、
アンチエージング力の総量>エージング力の総量
にはならない。

これを私はスローエージングの原則と定義しています。そして、これを自然の摂理だと考えています。

尚、先程、医療技術によるアップデートを極端な事例と止め置きましたが、今後、テクノロジーの進展により、必ず増えてくるでしょう。そして一部の人には若返りの魔法のように使われるでしょう。しかし、これは自然の摂理ではない事を十分認識して、副作用に気をつけて利用せねばならないと考えます。

生き生きと生きることがスローエージングを実現するというのはあくまで私の持論であり、信念です。万人に通用する普遍的な法則だとは思いません。

しかし、少なくとも私は、フィジカル、メンタル両面のインプット、プロセスを意識して、アウトプットを安定化させることが出来るということを経験則で学びました。

これはインプットの変化に対応してプロセスを変化させることで実現できるわけですが、要するにコミュニケーション力のアップデートです。インプットの多様性、プロセスのフレキシビリティを磨く努力を怠れば、人付き合いも途端に廃れてしまいます。コミュニケーションを面倒に感じないようにするには工夫が必要だと思います。

インプットの多様性ですが、心理的な安全を保証する人で身を守りつつ、外部に開かれた人付き合いの輪を作ることで実現できると思います。開かれた人付き合いは時には違和感を伴うかもしれませんが、時間を掛けてゆっくりと合わせ方を身につければ、温かくも刺激的なコミュニケーションが維持出来るのではないかと思います。

無論、私もエージングが進んでいます。髭にも白いものが随分と混じってきました。人生の山谷も多少なりとも経験しています。あの時、あの選択をしていなければ… と思わなくもないですが、知人のセリフを借りれば、それは「無かった過去」。無かった過去に続く未来もないので考えるだけ無駄です。

過去から学ぶべきは、未来により良い選択肢を取るための考え方です。

自分に「有った過去」と向き合い、自分の「在りたい未来」を創るという考え方が、自分にしか出来ない生き生きとした生き方、すなわち、スローエイジングに繋がると信じて止みません。

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この記事を書いた人

シゲタ ノリスケ シゲタ ノリスケ ビジネスデベロッパー、コンサルタント、オモシロタノシスト

好奇心が服を着て歩いてると言われる40代ビジネスパーソンです。オモシロタノシズムの社会実装を夢見て、今日もあれこれ考えています。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • タダは、時空と場所をスキップ中に、普段よりお腹が空いたり、時間か早く過ぎると感じるの。
    なんでかな~って考えた時に、脳がリラックスしているからかも?って思ったの。
    一見、時がゆっくり進むアンチエイジングと反比例するけれど、脳が活性化している間って、重力を感じていないんじゃないかって。まさにフワフワ状態。
    ほら、重力と時間の関係ってやつ?
    自分的には倍の速さで時が進んでいるけれど、傍から見たらいつもと同じ時間の流れ。
    結果的にアンチエイジング。
    アンチエイジングって、本人視点ではなく、他者視点なんじゃないかしら。って。
    タダなんとなくそう思っただけ。

    • コメントありがとうございます。
      仰るように他者視点なしにスローかアンチかという判断は難しいですね。
      スローエイジングは他者視点と自分視点感の視点移動(往復動)と考えます。
      いずれにしても「私は私」ですものね。

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